「幸福な食卓」★★★★★
〜こんな方にオススメの映画〜
◎生きづらさを感じている
◎ほんの少しの元気が欲しい
◎ミスチルが好き
◎胸にキュンとくる映画が見たい
↓予告編
まず最初に印象に残ったシーンは、兄の直ちゃんの部屋で、主人公の佐和子が偶然父の遺書を見つけてしまったシーン。
父は3年前に、浴室で手首を切って、自殺をしたんですよ。結果的に家族に発見されて、未遂に終わったんですが、遺書をその時家族に書き残した。その遺書を、兄はそっと自分の部屋でとっておいたんです。
遺書の書き出しはこう。
“突然のことで、驚いたと思う。
迷惑をかけてすまない。
どうしようもなくなった。
少しずついろんな事に狂いが出て、もう元に戻せない状況に陥ってきた・・・”
なんで遺書を捨ててなかったの?と悲しく問う佐和子に、兄はこう答える。
父さんが自殺したとき、ああ…やっぱりなあって思った。怖くなった。父さんが死ぬことに対してじゃなくて、ああ、自分もこの人みたいになるんだなあ…って思って。
どういうこと?と問う妹の佐和子に、兄はこんな事を云う。
「あの頃俺にも、ゆがみが出始めたんだ。子供のころから、何でも完璧に正しくこなしてきたことに、少しずつズレが出始めて。…初めはそんなズレ、すぐ元に戻せたんだけど、中学生になって…高校生になって…どんどんひどくなってきて……。そのうち、もうどう頑張ってもたまってゆくゆがみを戻せなくなるのがわかった。ゼロに戻すには……死ぬしかないんだなあ、って」
「父さんは、“真剣ささえ捨てることが出来たら、困難はずっと軽く出来たかも”って(遺書に書いていた)。だから俺はその方法を使ったんだ。…で、ハタチになってもまだ生きてる」
「…でも。もしかしたらこの方法は、まちがっているかも、しれないなあ」
生真面目な完璧主義者は、その完璧になんでもこなそうとする行為によって、じわじわ自分を追いつめていくんです。ゆっくりゆっくり、自分の首を絞めていってしまうんです。
そして兄は“真剣さを捨てる”ことで生き延びることができた。けれど、真剣さを捨てる…という選択は、完全には間違っていないかもしれないけれど、どこか悲しい。多分この兄は、完璧主義者ゆえに、それこそ“完璧に”、何事に対しても真剣さを捨ててしまったんだと思います。人間関係とか、恋愛とか、そういった大切なことに対しても真剣さを捨ててしまった。そのへんが、兄の抱える心の葛藤なんだと思います。
父の遺書の内容、兄がひそかに抱えていた想いの内容。そのくだりは、見ていてとてもドキリとしました。なぜなら、私自身、この映画のなかで父がしたことも、兄の考えたことも、両方全く同じように経験していたからです。私には、痛いくらい、ひと言ひと言が胸に突き刺さってきました。
次に印象に残ったシーンについて。
クリスマスイブに、会ってプレゼントを渡す約束をしていた佐和子と、その恋人の大浦君。その大浦君が、なんとクリスマスイブ当日の朝、交通事故で亡くなってしまいます。
佐和子は大切な人を失った悲しみで、毎日沈み込んでしまいます。そんなある朝の食卓で、佐和子は父を前にしてこんな事を云うんです。
「変だよね。父さんは、死にたかったのに失敗してずっと生きてる。だけど大浦君は、死にたくなんかなかったのに死んじゃうんだもの。死にたい人が死ななくて、死にたくない人がしんじゃうなんて、おかしいよ。そんなの不公平だよ。…絶対おかしいよ。……おかしいよ」
云ってしまってしばらくたって、「…ごめんなさい」とうつむいてつぶやく佐和子。家族はみんな、シーンとしてしまいます。そして、兄がぼそりとこう云うんです。
「そうだよなあ…。そんなこと云うほど、傷ついてんだよなあ」
今まで佐和子は、家族のことをとても大切に思ってきて、家族が何かゴタゴタを起こしても、優しくそれを受け容れていたんです。家族一人一人の問題も、一人で少し背負いすぎていた部分もあったんじゃないかなあって思うくらい、思いやりの深い女の子なんですよ。そんな佐和子が父に対して、ひどいことを云ってしまう。そのことがきっかけで、家族も佐和子の傷ついた心を理解するようになる。そして、それぞれが佐和子のために行動を起こし始める。
母は神社でお祈りをして、その後別居を解消して家に戻ってくる。父は、“父さん”に戻って、“父さん”としての役割を引き受ける。仕事も行くようになる。兄は、妹のことを恋人の小林ヨシコに相談し、小林ヨシコに佐和子を勇気づけてもらう。
この映画のキャッチコピーは“大丈夫。気づかないうちに、守られてるから。”なんですが、まさにその言葉通り、佐和子は佐和子自身気づかないうちに、いろいろな人に守られている。私も、他の人も、みんな気づかないうちに、なにかに守られている……。そう気づけて心が温かくなったシーンでした。
最後に印象に残ったシーン。
これです、これが、私がこの映画の中で一番大好きなシーンなんです!!
映画のラストで、佐和子が一人で、一本の道を歩き続けるだけのシーンがあるんです。けっこう長い時間そのシーンだけが続くんです。そして、挿入歌として、ミスチルの『くるみ』という曲が流れます。
この映画の中で使われている『くるみ』は、もともとあった『くるみ』という曲を、この映画のためにわざわざアレンジし直した特注品(?)なんです。で、佐和子が道を歩いているシーンとこの曲がものすごく合っているんです!!!歌詞の内容と映画のシーンがものすごくいい感じにシンクロしているんです。
時々佐和子は歩きながらも後ろを振り返ります。それでも、また前を向いて歩き出す。そして、歩いているうちに、今は亡き恋人の大浦君が佐和子に云ったひと言を思い出すんです。
「すごいだろ。気づかないところで、中原(=佐和子)っていろいろ守られているってこと」
そんな大浦君の言葉を思い出して、前を向いて笑顔で「おうっ」とつぶやく佐和子。(「おうっ」っていうのはちなみに大浦君の口癖だったんですよ。)
私は初めこの映画を映画館で見ていたんですが、ラストのこのシーンでボロボロ涙が出てきました。
“大丈夫。気づかないうちに、守られてるから。”
そんなことを、そっと教えてくれる映画です。本気でオススメです。
あと、個人的に好きだったのは、大浦君のキャラですね。彼のニカーッとした笑顔がすごく好きで、映画なのに大浦君の事を好きになりそうになりました(笑)
佐和子と大浦君の初めてのキスシーンも、見ていて胸がキュンとなりました。そのへんも見どころですよ♪
◎生きづらさを感じている
◎ほんの少しの元気が欲しい
◎ミスチルが好き
◎胸にキュンとくる映画が見たい
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↓予告編
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第26回吉川英治新人文学賞を受賞した瀬尾まいこの同名小説を原作に、『ワイルドフラワーズ』『奇談』などの俊英・小松隆志監督がメガホンを取ったヒューマン映画。成績のよかった兄の直ちゃん(平岡祐太)は農業の道へ進み、母(石田ゆり子)は家を出て、そして父(羽場裕一)は「お父さんを辞める」と宣言。皆が皆、朝の食卓でそれを告げる。それが中原家のマナーであった。そして今、中学3年生の娘・佐和子(北乃きい)は、転校生の大浦勉学(勝地涼)に心惹かれてゆく…。現代の家族の不可思議なありようと、その現代を生きる思春期の少女の心の揺れが繊細に絡み合い、見事に融合しえている秀作。抑制の効いた演出もすばらしく、すべての登場人物にシンパシーを感じられる。またその中で、新人・北乃きいの透明感あふれる存在も初々しくも心地よい。(増當竜也)
まず最初に印象に残ったシーンは、兄の直ちゃんの部屋で、主人公の佐和子が偶然父の遺書を見つけてしまったシーン。
父は3年前に、浴室で手首を切って、自殺をしたんですよ。結果的に家族に発見されて、未遂に終わったんですが、遺書をその時家族に書き残した。その遺書を、兄はそっと自分の部屋でとっておいたんです。
遺書の書き出しはこう。
“突然のことで、驚いたと思う。
迷惑をかけてすまない。
どうしようもなくなった。
少しずついろんな事に狂いが出て、もう元に戻せない状況に陥ってきた・・・”
なんで遺書を捨ててなかったの?と悲しく問う佐和子に、兄はこう答える。
父さんが自殺したとき、ああ…やっぱりなあって思った。怖くなった。父さんが死ぬことに対してじゃなくて、ああ、自分もこの人みたいになるんだなあ…って思って。
どういうこと?と問う妹の佐和子に、兄はこんな事を云う。
「あの頃俺にも、ゆがみが出始めたんだ。子供のころから、何でも完璧に正しくこなしてきたことに、少しずつズレが出始めて。…初めはそんなズレ、すぐ元に戻せたんだけど、中学生になって…高校生になって…どんどんひどくなってきて……。そのうち、もうどう頑張ってもたまってゆくゆがみを戻せなくなるのがわかった。ゼロに戻すには……死ぬしかないんだなあ、って」
「父さんは、“真剣ささえ捨てることが出来たら、困難はずっと軽く出来たかも”って(遺書に書いていた)。だから俺はその方法を使ったんだ。…で、ハタチになってもまだ生きてる」
「…でも。もしかしたらこの方法は、まちがっているかも、しれないなあ」
生真面目な完璧主義者は、その完璧になんでもこなそうとする行為によって、じわじわ自分を追いつめていくんです。ゆっくりゆっくり、自分の首を絞めていってしまうんです。
そして兄は“真剣さを捨てる”ことで生き延びることができた。けれど、真剣さを捨てる…という選択は、完全には間違っていないかもしれないけれど、どこか悲しい。多分この兄は、完璧主義者ゆえに、それこそ“完璧に”、何事に対しても真剣さを捨ててしまったんだと思います。人間関係とか、恋愛とか、そういった大切なことに対しても真剣さを捨ててしまった。そのへんが、兄の抱える心の葛藤なんだと思います。
父の遺書の内容、兄がひそかに抱えていた想いの内容。そのくだりは、見ていてとてもドキリとしました。なぜなら、私自身、この映画のなかで父がしたことも、兄の考えたことも、両方全く同じように経験していたからです。私には、痛いくらい、ひと言ひと言が胸に突き刺さってきました。
次に印象に残ったシーンについて。
クリスマスイブに、会ってプレゼントを渡す約束をしていた佐和子と、その恋人の大浦君。その大浦君が、なんとクリスマスイブ当日の朝、交通事故で亡くなってしまいます。
佐和子は大切な人を失った悲しみで、毎日沈み込んでしまいます。そんなある朝の食卓で、佐和子は父を前にしてこんな事を云うんです。
「変だよね。父さんは、死にたかったのに失敗してずっと生きてる。だけど大浦君は、死にたくなんかなかったのに死んじゃうんだもの。死にたい人が死ななくて、死にたくない人がしんじゃうなんて、おかしいよ。そんなの不公平だよ。…絶対おかしいよ。……おかしいよ」
云ってしまってしばらくたって、「…ごめんなさい」とうつむいてつぶやく佐和子。家族はみんな、シーンとしてしまいます。そして、兄がぼそりとこう云うんです。
「そうだよなあ…。そんなこと云うほど、傷ついてんだよなあ」
今まで佐和子は、家族のことをとても大切に思ってきて、家族が何かゴタゴタを起こしても、優しくそれを受け容れていたんです。家族一人一人の問題も、一人で少し背負いすぎていた部分もあったんじゃないかなあって思うくらい、思いやりの深い女の子なんですよ。そんな佐和子が父に対して、ひどいことを云ってしまう。そのことがきっかけで、家族も佐和子の傷ついた心を理解するようになる。そして、それぞれが佐和子のために行動を起こし始める。
母は神社でお祈りをして、その後別居を解消して家に戻ってくる。父は、“父さん”に戻って、“父さん”としての役割を引き受ける。仕事も行くようになる。兄は、妹のことを恋人の小林ヨシコに相談し、小林ヨシコに佐和子を勇気づけてもらう。
この映画のキャッチコピーは“大丈夫。気づかないうちに、守られてるから。”なんですが、まさにその言葉通り、佐和子は佐和子自身気づかないうちに、いろいろな人に守られている。私も、他の人も、みんな気づかないうちに、なにかに守られている……。そう気づけて心が温かくなったシーンでした。
最後に印象に残ったシーン。
これです、これが、私がこの映画の中で一番大好きなシーンなんです!!
映画のラストで、佐和子が一人で、一本の道を歩き続けるだけのシーンがあるんです。けっこう長い時間そのシーンだけが続くんです。そして、挿入歌として、ミスチルの『くるみ』という曲が流れます。
この映画の中で使われている『くるみ』は、もともとあった『くるみ』という曲を、この映画のためにわざわざアレンジし直した特注品(?)なんです。で、佐和子が道を歩いているシーンとこの曲がものすごく合っているんです!!!歌詞の内容と映画のシーンがものすごくいい感じにシンクロしているんです。
時々佐和子は歩きながらも後ろを振り返ります。それでも、また前を向いて歩き出す。そして、歩いているうちに、今は亡き恋人の大浦君が佐和子に云ったひと言を思い出すんです。
「すごいだろ。気づかないところで、中原(=佐和子)っていろいろ守られているってこと」
そんな大浦君の言葉を思い出して、前を向いて笑顔で「おうっ」とつぶやく佐和子。(「おうっ」っていうのはちなみに大浦君の口癖だったんですよ。)
私は初めこの映画を映画館で見ていたんですが、ラストのこのシーンでボロボロ涙が出てきました。
“大丈夫。気づかないうちに、守られてるから。”
そんなことを、そっと教えてくれる映画です。本気でオススメです。
あと、個人的に好きだったのは、大浦君のキャラですね。彼のニカーッとした笑顔がすごく好きで、映画なのに大浦君の事を好きになりそうになりました(笑)
佐和子と大浦君の初めてのキスシーンも、見ていて胸がキュンとなりました。そのへんも見どころですよ♪
コメント
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