好きなんよ、これ。

私が出会った本、音楽、映画、その他もろもろについて時に熱く、時にゆる〜く語ります。 自分の好きなものたちを誰かと共有できたら・・・。

「さよならみどりちゃん」★★★☆☆

〜こんな方にオススメの映画〜
◎映画を見て、スカッとした気分になりたい!
◎切ない恋愛の経験がある。


さよならみどりちゃんさよならみどりちゃん
(2006/02/24)
星野真里、西島秀俊 他

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↓今回はしっかり見られる予告編が見つからず…。下のサイトで見られるかも…と思いましたが、もう動画を流していないっぽいです…。
http://www.walkerplus.com/tokyo/tv/latestmovie/mo3646.html

Amazon.co.jp
平凡なOLのユウコ(星野真里)はカフェの軽薄な店員ユタカ(西島秀俊)に抱かれるが、彼にはみどりという彼女がいるという。ユタカに嫌われまいと、何も言わずに彼と付き合い続けるユウコ。無理やりカラオケスナックのホステスにされたり、まだ10代のグラマラスな店員・真希(岩佐真悠子)にユタカをめぐってライバル宣言されたり、ぎくしゃくしながら曖昧な関係は続いていくが…。
南Q太の同名コミックを原作に『ロボコン』の古厩智之監督が等身大の女性の恋愛心理を巧みについた秀作。これが映画初主演の星野真里のはかない存在感が実によく、女優としてのステップアップを見事に体現しえている。また同性から見るとイライラしてくるほどに、西島の駄目男ぶりは板についていてうまい。またカラオケスナック内の描写などもほどよい猥雑感で捉えられており、それがラストのカタルシスにも繋がっている。(増當竜也)

 俗っぽくいうなら、“サイテー男を好きになってしまった女の子”の成長物語です。
ひとまず、わかりやすいように簡単な登場人物の紹介をします。

ユウコ…主人公。ユタカが好き。
ユタカ…みどりちゃんという彼女がいながら、いろんな女の子に手を出すだらしない男。自分勝手で、いつも周りの人間を平気で傷つけて、バカにしている。
太郎…ユウコに片思い。ユタカの言動が許せない。
真希…ユタカに片思いする女の子。



 印象に残った点ひとつ目。まず、なんといっても主人公ユウコが片思いしているユタカのダメっぷり。映画全編を通して、サイテーな言動のオンパレードです。そのダメダメっぷりにあまりにも呆れたので、そのサイテー男ユタカの言動の一部を紹介します。

・太郎がユウコにキスしようとした時、ユタカがユウコを荒っぽくつかんで去り、こんな会話をする。
ユタカ「太郎みてえなんにフラフラしてんじゃねえよ」
ユウコ「何であんたはよくて私はダメなの?」
ユタカ「ハア!?…言っとくけど俺、真希とはヤってないぜ?あいつさー友達と住んでるしさー、ホテルも金もったいねーしな」


・元カノとベタベタ関係を続けるユタカ。朝早く、ユウコの家にやってきて酒臭い息でユウコを押し倒し、行為をねだるも拒否され、こうもらす。
「ゆうべさあ、元カノが店に来てさ、なんか?不倫かなんかしてて?寂しいとかなんとかかんとか言うからさ、ホテル連れてったんだよ。そしたらやっぱヤダなんてごねやがってさー、まあそれでもヤったれって思ったんだけど(笑)、でもなんかオヤジの後っちゅうのも汚ねーじゃん」
元カノとヤれなかったからユウコの家に来るも拒否されて、その足で真希の所に向かい、真希とホテルでヤる。

「なあユウコ。お前ソープで働かない?紹介してやるよ?」

・家でユウコといる時に
「ねえ。オナニーするとこ見してよ……やれよ!」

・ユウコと寝た後の二人のやりとり
ユタカ「みどりがなあ…なーんか知んないけど出来やすい女でさ、二回おろしてんだよ、俺ん時。前にも色々あった女でさ、もう俺は産めば?つったんだけど…なんかさっさとおろしておいて泣いてるしなあ。…あ、でも俺が悪いらしいよ、金払えとか言われてんのこないだ。慰謝料だとかなんだとか。なーんでこんな話してんだろうな俺」
ユウコ「なんで?」
ユタカ「なんでかな?なんか話しちゃうんだよお前には。…あ、俺真希とヤったっつったっけ?…処女だったんだぜあいつ。知ってればなあ。俺ももっとマシなホテルでヤったんだけどなー。そこら辺の小汚いラブホでヤっちまったよ」


ユタカの事が好きだから、こんなサイテーなユタカとの関係もずるずる続けてしまうユウコ。その原因は、真希がユウコに言ったこのひと言が全てを物語っていると思います。

「先輩(=ユウコ)って、断れない人ですね」

まさにその通り!なんですよ、ユウコは。ユウコはスナックの客にお尻を触られても何も抵抗できないような女の子です。ノーと言えない。だから、例えどんなひどいことをされても、惚れてしまったユタカのいうことにはなんだかんだで従ってしまっていた。そんなユウコだからこそ、ユタカは散々平気でひどい話がユウコに出来た。「なんでかな?なんか話しちゃうんだよお前には」というセリフの意味はきっと、ユタカはユウコの“ノーと言えない性格”を意識的にか無意識的にかわからないにせよ、都合よく思って利用していたんでしょう。恋愛ってお互いが与え合うものだと私自身は思うんですが、ユウコの場合は奪われっぱなしだったように感じました。まあそれも、“好きだから”仕方のないことなんでしょうか…?

 印象に残った点二つ目。
映画の終盤。みどりちゃんがどんな子なのか知りたくて、ユウコはユタカとみどりちゃんが二人で乗っているタクシーを、必死で夜中じゅう走って追うんですよ。ずっと、ずっと。タクシーの方が早いから、ものすごく頑張ったんだけど、結局タクシーには追いつけず、朝方家に疲れきった状態で帰ると、アパートの階段にはユタカが座って待っていた。そして、こんな会話を交わします。

ユタカ「お前ボロボロじゃん、どしたの?」
ユウコ「…ユタカ、私のこと知らないでしょ」
ユタカ「(無表情で)うん。…知らない」
ユウコ「私、お店やめたいの」
ユタカ「いんじゃない?やめても」
ユウコ「うん。…ねえ、ヤりたくない?」


ユウコは自分から「ヤりたくない?」なんていう女の子ではなかったんです。そして、二人で抱き合っている間、心の声で、ユウコはこんなことをいいます。

“溶けてなくならなくてもいい。初めてそう思ったセックスは、とてもよくて…ユタカはいつもよりゴツゴツしてて、でも、とてもよくて…”

映画の冒頭のくだりで、同じくユウコは心の声で、こんな事を言っていました。

“「俺って平熱高くてさ、37℃もあるんだぜ?」
よく自慢していたユタカと初めてヤった日、ユタカは本当に熱くて、私は溶けてなくなった”


“「あれ何だっけ?絵本。おふくろがよく読んでくれてさ」
私は知ってた。ユタカが好きな絵本。虎がバターになるように、私は溶けてなくなっていく。このまま時間が止まればいいのに”


前は、“溶けてなくなりたかった”のに、“溶けてなくならなくてもいい”と気持ちが切り替わった。今はユタカにはみどりちゃんという彼女がいる。だからユタカの彼女になれない、でも、今の肉体関係だけのつき合いでも、関係が続くならいいか。そんなふうに、割り切ったんじゃないのかなあ、と、私は見ていて感じました。このくだりのユウコは、見ていて切なすぎます…。

 印象に残った点三つ目。
ユタカはついに、みどりちゃんに愛想を尽かされて、みどりちゃんと別れます。そのことを聞かされたユウコは、初めてユタカにはっきりと告白して、ユタカの気持ちを確かめようとします。

「…あたし。ユタカが好き。…ユタカのことがめちゃくちゃ好き。…ユタカだけなの。だから私のこと、好きになってよ?」

いじらしすぎる…。けれど、ユタカは背中を向けてずっと無言で、タバコを吸い出す。そんな態度をみてユウコは泣き出します。それでも顔色一つ変えず、黙って服を着て、最後にひと言「ほんじゃなー」とだけ言ってユタカは去る。必死の告白に対してすら、ロクに応えない。サイテーの極みですね。
けれど、正式に告白して、ユタカの気持ちを(悪い結果にせよ)確かめられたユウコは、その後一気に元気になります。負担になっていたスナックの仕事を辞めるとママに告げ、そして最後の仕事の日、客の前で歌を歌います。このシーンが、わたしはこの映画の中で一番好きです。
ユウコはオンチなことがずっとコンプレックスで、スナックの客にデュエットをねだられてもずっとそれだけは拒んでいたんですよ。ノーと言えない性格のユウコがたった一つ、歌う事だけは拒んでいた。相当のコンプレックスだったんでしょう。そんなユウコが、ラストシーンでついに歌を歌う。ものすごくオンチなんだけど、それでもスッキリした笑顔で楽しそう〜に歌うんです。このシーンを見ていて、私はものすごく気持ちがスカッとしました。ああ、やっとユタカの“呪縛”から解放されたんだね…って感じました。


 好きゆえに、サイテーな男のために苦しみ続けた女の子が、最後は曖昧な関係に自らピリオドを打ち、元気になっていく。
ユタカのサイテーぶりに振り回されっぱなしのユウコが、見ていてものすごくいじらしくてもどかしかったので、最後の歌のシーンは本当にスッキリした気分になれました。
ちなみに、ユウコが最後に歌ったのは、ユーミンの『14番目の月』という曲です。この曲とこの映画がものすごくマッチしていて印象に残ったので、YouTubeから探してきたこの曲の動画を紹介します。予告編を見つけられなかったのが残念だったので、せめて曲だけでも楽しんでみて下さい!

14番目の月 〜 ユーミン

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